SEO記事の失敗しにくい構成づくりの手順【ライターが解説】

SEOの記事制作プロセスを大きく分けると、KW選定・構成案作成・執筆の3工程に分けられます。当記事ではこのうちの構成案作成に焦点を絞り、目的、下準備、構成づくりの具体的な手順やコツ、頭に置いておきたいポイントを解説します。特に、検索エンジンと読み手の双方にとって理解しやすい構成づくりをしたいという方に向けた記事となっています。

SEO記事における構成づくりの目的

SEO記事の構成づくりには、記事の品質を担保したり、認識のズレを防いだりする目的があります。

記事の品質を一定に保つこと

SEO施策の効果を高めるには、一定以上の品質が保たれた記事を蓄積していくことが欠かせません。品質の良し悪しは一概にはいえませんが、検索エンジンにとって構造が理解しやすいこと、読み手にとって理解がしやすいこと、このふたつが品質を担保するための最低条件です。

ここにバラツキがあると、狙っているKWで検索エンジンに認識されなかったり、「読みづらいな」と読者に離脱されたりする可能性が高まるというのが私の考えです。なので、高品質な記事作りのために実施するというよりは「構造的かつ読みづらくはない」というラインを維持するために実施するともいえます。

構成づくりは、SEO効果を着実に積み上げていくのに欠かせない工程です。

関係者間の認識ズレ防止

SEOの記事制作プロセスは大きくKW(キーワード)選定・構成案作成・執筆の3段階に分けられ、また各工程を別々の人が担当することも珍しくありません。この分業によって起こりうるリスクは、依頼者のイメージと違った記事が仕上がることです。

たとえば記事制作代行会社やライターに記事制作を依頼する際に「SEO 記事 構成」というKWのみを渡し、構成づくり以降の工程を丸投げしたとします。このとき、ニーズがいくつか考えられる場合には"思ってたのと違う"記事が納品される可能性があります。

「SEO 記事 構成」というKWからは「構成づくりとは何なのか知りたい」「構成づくりに強い会社あるいは個人に外注したい」「構成づくりの詳細なプロセスを学び内製化したい」などが挙げられますが、特に「外注したい」ニーズと「内製化したい」ニーズとでは提供すべき情報が異なります。

外注したい方に対しては、記事制作を支援または代行する会社の特徴や価格などを比較した一覧表がふさわしいと考えられます。一方、内製化したい方に対しては、構成づくりのプロセスや作業を進めるときのコツ、汎用的な構成案テンプレートなどの提供が望ましいでしょう。

このように、検索KWから複数のニーズが想定される場合、"思ってたのと違う"記事が納品されて制作が逆戻りする可能性があります。SEO対策の記事制作をする際は、構成案によって記事の方向性を共有し、認識を擦り合わせることをお勧めします。

検索意図と対策KWの点検

SEO記事の構成は基本的に、KWから推測される検索意図に沿って作られます。検索意図に沿った構成にすることでユーザーニーズを満たし、記事や掲載サイト、ひいては運用元に対する信頼を読み手に抱いてもらうためです。構成づくりをすると必然的にニーズを掘り下げていくことになります。

また構成づくりの過程で検索意図の点検作業が進むと、新たなKW候補が浮かぶことがあります。実はこの記事も最初は「SEO 記事 作成」を対策KWとして設定していました。しかし記事作成プロセス全体をスコープにした場合、KWをどのように選ぶのかといったノウハウや、記事制作の優先順位付けなどもニーズの候補として挙げられます。

私の強みである制作経験に基づいた構成づくりをしにくくなるため、対策KWの変更が必要なことが判明しました。目的というよりも結果としてKWの変更がされたともいえますが、構成づくりをしっかりと行うことは、より適切なKWを見つけることにも役立ちます。

記事構成づくりの前に決めること

記事構成を作るには下準備が必要です。ペルソナを用意することが理想ですが、どのような悩みを抱えている人が検索しているかイメージできるレベルのざっくりとしたメモでもかまいません。私の場合はだいたいですが、下記の3つを言語化するようにしています。

想定読者

言うまでもないかもしれませんが、想定読者とは記事の読み手のことです。ある情報を求めて、Googleなどの検索窓にKWを入力している人を指します。検索するに至った背景や、知識レベルを想定します。この記事でいえば、Webマーケティングの知識はある程度あるものの、記事制作ノウハウには乏しく、また記事の良し悪しを判断することが難しい、というような方が想定読者です。

リスティング広告やSNS広告を用いた集客をメインとしており、あらたな集客チャネルを獲得するためにSEOに取り組みたい、という背景が想定できます。ペルソナとしてキチッと作る場合は、年齢や性別、職業や企業内でのポジション、情報収集の仕方(SNSをよく使うなど)、家族構成など、もう人物像がイメージできるレベルまで想定します。

おおまかな検索意図

どのような情報を欲しているのかを書き起こします。すでに少し書いてしまいましたが、この記事では、すでにいくつかのインターネット広告を利用しており、新たな集客チャネルとしてSEOを検討しているという意図を想定しています。

また「構成」というワードからは、「構成とはそもそも何なのか」「効果の出やすい構成のフォーマットはあるのか」「効率的に作る方法はあるのか」といった意図が推測できます。こんな風に、何を意図して検索をしているのかをおおまかに推測して言葉にしておきます。

記事のゴール

検索に至った背景、知識レベル、おおまかな検索意図を用意したら、記事のゴールを設定します。記事のゴールとは「記事を読むことで、読者にどのような変化をもたらすことを目指すか?」を表した指標です。

ちなみにこの記事では、

・SEO記事における構成案作成の重要さが理解できる
・検索意図の類型(基礎学習・問題解決・比較検討)が理解できる

というゴールを設定しています。ここまでを用意すると「誰がどのような意図でこの記事を読み、読了後にはどのような状態になっていることを目指すのか」という指針ができあがります。

これで、構成案作成に着手する下準備が完了となります。

SEO記事構成の作成手順

ここからは、記事構成を作成する手順と、各工程におけるコツを解説していきます。

検索意図の分類・掘り下げ

繰り返しになりますが、SEOの記事はKWから推測される検索意図に沿って作られます。検索意図を書き出していき、それに応じた情報を順番に提示していくことが基本となります。必ずこの順番!という決まりはありませんが、私の場合は分類→掘り下げ、の順で進めることが多いです。

また検索意図の分類は作業効率アップに欠かせない作業で、基礎学習型・問題解決型・比較検討型の3つのうち、どれに当てはまるのかを仮定します。

基礎学習型は「用語の意味を知りたい」「基礎知識を得たい」といった検索意図で、構成としては用語の定義や種類、具体例、起源などを提示していきます。問題解決型は「いま起きている問題を解決したい」あるいは「想定される問題を未然に防ぎたい」という検索意図で、構成としては、問題の原因や対処方法を提示します。

比較検討型は「商品・サービスを比較したい」という検索意図で、化粧品やガジェットの比較だったり、2025年現在では生成AIの比較記事がホットなものでしょうか。構成としては、比較する基準を示したうえで、商品・サービスを掲載していくものを作ります。

これら3つの型は、必ずしも上記のようにキッパリと分かれているわけではありません。たとえば「乾燥肌によい化粧品を見つけたい」というニーズは、「乾燥肌を治したい」という問題解決型の意図と「化粧品を比較したい」という比較検討型のニーズが組み合わさっているといえます。化粧品を比較するというニーズを満たしつつ、乾燥肌を解決するそれ以外の選択肢を提示する構成を作れますね。

基礎学習型・問題解決型・比較検討型の3つのうちどれが基軸となるかを仮定しつつ、組み合わせながら記事の骨組を作っていきます。

上位表示の傾向の把握

狙っているKWで検索をして、上位表示されている記事の内容を調べます。検索意図の分類・掘り下げを行うと、読み手が欲している情報やその提示順をある程度想定できるようになります。今度はその想定を、実際に上位表示されている記事と比較します。

SEOには、こういう内容をこういう順番で書くと上位表示される、といった正解がありません。検索エンジンのアルゴリズムがブラックボックスであることと、常に変動していることが理由です。ユーザーの訪問や滞在記録によっても順位は日々変動しますし、Googleのアップデートによってガラッと変わることもあり得ます。

上位表示されている記事との比較は「現状のひとつの正解」として、参考にする意味があります。分類・掘り下げ作業では思い浮かばなかった視点、共通していること、また上位記事に不足している点などが見えてきます。共通していることはそのままに、取り入れたほうが良さそうなものは取り入れて、不足している点は積極的に盛り込みます。

巷のSEO情報で「オリジナリティを取り入れる」といわれているのは、ユーザーにとって必要な情報ではあるが、既存の記事では不足していると見られる情報のことです。斬新な情報を提供するという意味ではありません。

ちなみに「SEO 記事 構成」というKWでは、構成案作成の詳細なプロセスや考え方を説明する内容が見当たらなかったため、できる限り詳細な解説をしてみようと今回のような構成・内容を作りました。

見出しづくり

いよいよ見出しを作っていきます。といっても実際は、意図の掘り下げや上位記事の傾向を調べながら見出しのメモをつけていきます。情報を集めてかたまりをつくる→要約した表現にする、といった手順で見出しを作っていきます。

情報収集型の場合は用語の定義や一般的に使われている例などを記すため、「〇〇とは」「〇〇の種類」「〇〇の起源」といった仮の見出しをササッと作ります。調べていく仮定でもう少し具体的に示せるなと感じたタイミングで「〇〇が××の始まり」など、本文を要約したような見出しを作成します。

ちなみにこの章では、構成案づくりの手続きを適当なかたまりに分割し、分割された作業に名前を付けたものを見出しにしました。既にある手続きを分割して名付けしたものが見出しになるパターンといえますね。

指示コメントづくり

ライターに執筆を依頼するための指示を作成します。構成づくり→執筆を私が担当する場合は書きません。

各見出しについて、どのような内容を記載するのかといったコメントを記載します。コツは、必ず記載されていなければいけない情報はなにか、この章における中心的な話題はなにか、意識して作成することです。どのライターが書いても中心的な意味は外れないようなコメントを書けることが理想です。

例えばこの見出しであれば、「ライターに執筆依頼をする際に、記載内容の概要を示すものであることを説明します。またクライアントが記事の方向性を確認するものであることも記載します。」などの内容を記載します(今回はぜんぶ自分で行なっているので作成していませんが)。

記載内容の方針を示すもので、関係者感の認識を細かい部分で擦り合わせるものでもあります。また必要に応じて、参考にしたい記事のURLを添えます。大きなズレが発生しないようにするのが目的です。見出しだけで記載内容の方針を伝えられるのが理想ですが、なかなか難しいので補足的に指示コメントを作成します。

タイトルの設定

記事のタイトルを考えます。内容を端的に表していて、読者の興味を引くが誇張しすぎない、といった塩梅を目指します。読み手はタイトルを見て記事を読むかどうかを決めるため、興味を引くタイトルを付けたい気持ちになります。しかし期待する内容がなかった場合には「釣りタイトル」と見なされて信用を失う結果に繋がります。

釣りタイトルにならず、かつ読み手を引きつけるバランスが大切なのです。このブログでは、「「旅行の荷造りがめんどくさい」という同志へ【コツ&リスト紹介】」というタイトルは上手くいった例の一つです。「旅行 荷造り めんどくさい」というKWで、6年以上検索結果の1ページめに表示されています。

また「日本語を学び直すなら『日本語練習帳』がおすすめ」という記事も同様に、6年以上上位表示されています。「日本語 学び直し」「日本語 勉強し直す」というKWからの流入が多く、クリック率は25%前後です。1位に表示されるものでもだいたい30%くらいなので、25~30%前後であれば十分だと考えられます。

最近の記事では「ラオス・ルアンパバーンでSIMカードを安く入手する方法【正規店がお得】」のクリック率が非常に高く、40%を超えています。

2025/3/31 時点、過去3ヵ月ぶんのアクセス解析データです

自分でびっくりしました。

タイトル・見出し・指示内容の見直し

見出しづくり、指示コメントづくり、タイトルの設定までを終えたら、いちど全体を見直します。書き終えた直後ではなく、1日ていど時間を置くことがポイントです。時間を置くと客観的な目線で眺めることができ、違和感に気づきやすくなります。

タイトルを見直す際のポイントは、バランスです。要約が効いていて、かつ読み手の関心を引き、長すぎないタイトルが理想です。検索者の意図を頭におきながら実際に検索した場面を想像し、そのときの心情をイメージします。平たくいえば「読み手を憑依させる」ということです。

見出しの場合は「要約が効いているか」が大切です。タイトルの見直しでは読み手の心情を意識しますが、見出しではその段落で紹介する内容の中心的な意味を意識します。あとは階層構造が適切かどうかも見直します。

指示コメントの見直しでは、誤字脱字がないか、また意味が通じるかどうかを見ていきます。自分がそのコメントを読んだときに、迷わずにライティングできるかどうかを判断基準としています。「はい、ではこの構成に基づいてライティングをしてください」と渡されたときにスムーズにライティングできると思えばOKです。

構成作りに取り組む際に押さえたいポイント

構成づくりに取り組むと、方向性を見失って迷子になったり、どこまで盛り込めばいいのかわからなくなってしまうことがあります。そうして混乱したまま雑に作ってしまっては本末転倒です。

これを防ぐためのポイントを紹介します。

記事の閲覧は読み手との対話

当たり前ですが、どんな記事でも読み手がいます。目の前に顧客や商談相手がいるときに丁寧な対応を怠るひとはいないと思いますが、構成づくりの場合は原稿に向かうので、「さっさと終わらせてしまおう」と、読み手がいることを忘れてしまうことがあります。

読み手の存在を忘れたまま作成すると、読まれない記事が大量に作られてコストだけが積み上がってしまうのです。なかば精神論のようですがけっこう大事なポイントで、読み手の存在を忘れることは、SEOのコンテンツ制作に失敗する原因のひとつだとも思っています。

上位記事=良記事ではない

上位記事は「現状のひとつの正解」ではありますが、それが読み手にとって良い記事であるとは限りません。なにか検索をして、1番うえに表示されている記事をクリックして「自分が読みたい内容ではなかった」と思ったことはありませんか。

無いよりはよほどマシですが検索エンジンも完璧ではなく、読み手にとって役に立つ記事を上位表示しているとは限らないのです。なので上位表示されている記事を真似しても、SEO効果を高められるとは限りません。

構成づくりの最初に検索意図の分類・掘り下げを行うのはそのためです。検索意図をベースにおおよその骨格を想定し、上位表示の傾向を見て取り入れるべき要素や競合優位性を持てそうな要素、不足している要素を洗い出す、という順番が大切です。

記事の集積でSEO効果を上げていく

記事単体で全てのニーズに対応するのではなく、複数の記事のネットワークによってニーズに応じる”面”を作っていくイメージです。このイメージを持っておくと、取り組んでいる記事で対応すべき範囲が肌感覚で分かるようになります。

またこのような意識で構成づくりをしていくと、内部リンクの設置もしやすくなります。内部リンクを適切に設置できると、検索エンジンのクローラーが巡回しやすくなる効果があり、ユーザーの回遊率向上に加え、サイトの評価向上も期待できます。

まとめ

SEO対策の効果を高め、かつ記事制作の後戻りを防ぐには構成づくりを適切に行う必要があります。上位記事の検索を行う前に、検索意図の分類と掘り下げを実施することが重要なポイントです。

ABOUTこの記事をかいた人

編集者。メディアづくり・チームづくり・コーチング(編集の)が得意。生きづらさを市場化すべく試行錯誤中。薬を飲むの苦手、手数の多い単純作業苦手、声の大きい人苦手、飲み会苦手。根性叩き直し中。目標はリオネル・滅私。