なぜ、納期(締め切り)を守ることは大切なのか?

「納期(締め切り)を守る」ことはなぜ大切なのか。当たり前といえばそれまでですが、改めて考えてみました。

そもそもなぜこんなことを考えているかというと、仕事をする際にずっと付きまとう問題だからです。何時までに、何をやる、という締め切りを設定して、そこに向かって仕事なりなんなりを進める。

結論としては、
「締め切りを守り続ける=信頼を積み重ねること」だからだと思います。

木と納期に向き合う毎日

ぼくは、2013年の10月〜2014年の3月まで、岐阜県高山市にある「森林たくみ塾」というところで木工修行をしていたのですが、そこでは毎日のように「木と納期」に向き合っていました。

森林たくみ塾の修行スタイルは「常に本番」で、その中で木工のいろいろを学んでいくというもの。とにかくたくさんの製品をつくりました。くり、なら、カエデ、など、約7種類(?)の広葉樹を使った積み木、野球のグローブを立てかけるためのスタンド、シンプルな四角い箱やバットの端材を使ったキーホルダーなどの製作に携わりました。

数百〜数千の木材を切ったり削ったり、貼り合わせたりする毎日。一枚の板から何枚の材料が切出せて、だから全部で何枚必要で、納期はここまでだから、この工程は何日間で終えて、といった段取りを組む。

その日の終わりには予定と実際とを照らし合わせて、進捗状況を把握。予定通りに終わることは少なかったです。

ぼくはとにかく作業が遅く、同期の女の子の方が、テキパキと作業をこなしていました。自分では精一杯やっているつもりでしたが「いつまでやってるんだ」と怒られることも。「怒りすぎじゃないか」とも思いましたが、納期を守ることの大切さを教えるためだったかな、と今では思います。

人に教えるのってめちゃめちゃ大変だと思うので、怒る方もけっこう悩んでいたりするんですよねきっと。

待っている人がいる

納期は読んで字のごとく、製品を納める期日。とにかくこれを守ることが信頼につながると考えました。たくみ塾で作った製品は循環型社会を目指す「オークヴィレッジ」という会社に置かれて、お客さまのもとに届きます。納期が守れないと、製品を手にすることを楽しみにしているお客さまを待たせることになります。

これは飲食店で言えば、お腹を空かせたお客さまを待たせる感じでしょうか。「あのお店はつくるのが遅い」という評判が広まったらどうでしょう。「料理には最適な時間がある」という見方もありますが、お腹を空かせた人はできるだけ早くご飯にありつきたいもの。あまりにも遅ければ、客足が途絶える可能性が高くなります。

「もうあそこからには注文しなくていいや」ということになりかねません。

木工作業の現場ではお客さまの顔を浮かべつつ、目の前の木材に向き合って、段取りもアタマに入れながら製品を作っていくのが理想的です。言葉にするのは簡単だけど、実践するのは半端じゃなく難しい。

実際は目の前の作業に集中することに精一杯で、客さまの顔を浮かべることなど到底できませんでした。

なぜ、納期を守るのが難しいのか

納期通りに仕事をこなすのはとっても難しい(と感じています)。一体なぜでしょうか。これも考えてみました。

一人で完結する仕事ではない

ひとりで完結する仕事は、ほぼないですよね。組織をつくって皆で協力し合うから、それは当たり前。一人ひとりの仕事の速さは違うし、コミュニケーションがいつもうまくいくとは限らない。

組織は継続が使命(たくさん売り上げ、利益を残す)だから、余裕のある納期を設定することはまずないですし、曖昧な隙間時間のようなものが積み重なるんですね。

いちど失敗をすると怖くなる

人は(というかぼくは)失敗を恐れます。失敗をした時の精神的ダメージをくらいたくないから。木工修行の現場でいえば、例えば寸法を間違うと、初めから全部やり直し。

今までの労力も、材料も、全部パー。発覚したタイミングによっては、納期を守ることができなくなり、楽しみにまっているお客さまを待たせることにつながります。

利益も減るし(材料費、人件費がかさむので)、迷惑をかけるし、いいことは何もない。失敗から学ぶことは結構多いのですが、できれば失敗はしたくないです。

刃物で怪我もしたくないですし、過度に恐れるとスピードが落ちます。量をこなせばこなすほどその遅れは積み重なって、とんでもない遅れに。

体調を崩す

これも。特に少ない人数で進めているプロジェクトなんかはたった一人いなくなっただけでもてんてこ舞いになるでしょう。全員が毎日超健康体であるに越したことはないけど、だいたい誰かしらは体調をくずすと思います。

順調に進む要因よりも、進まない要因のほうが圧倒的に多いんです。だから納期を守ることは難しい。

まとめ

納期を守るのは難しいが、守れないことが続くと信頼してもらえなくなり、いずれは仕事をもらうことすらできなくなる。たいていの人は、なにかしらの仕事に就くことになりますし、仕事には締め切りがつきもの。だから、それを守り続けるというのは、どんな場所でも活きるはず。

ぼくは現在ライターとして仕事をいただいて生活しておりますが、継続的にお仕事をもらえているのはこの学びのおかげかな、と思っています。

ABOUTこの記事をかいた人

編集者。メディアづくり・チームづくり・コーチング(編集の)が得意。生きづらさを市場化すべく試行錯誤中。薬を飲むの苦手、手数の多い単純作業苦手、声の大きい人苦手、飲み会苦手。根性叩き直し中。目標はリオネル・滅私。