【対談レポ|情報発信術】首都圏在住”移働ライター”×新潟在住”小規模ビジネス改善専門家” の想いが伝わる情報発信術とは。

こんにちは。編集者・ライターとして活動している佐藤英太です。2019年9月5日、新潟県新潟市にて「情報発信」をテーマとした対談イベントが開催されました。

会場は沼垂(ぬったり)にある『nuttari NARI』というゲストハウス。5日前の告知にも関わらず、参加者は20名。参加者の属性は、公務員、士業、会社員、経営者、フリーランスなどさまざま。

情報発信ノウハウはネット上にゴロゴロある時代。リアルイベントにこれだけの方が足を運ぶことに驚きました。参加者が何を求めていたのかを考えるべく、対談の記録を残すことにしました。

ゲスト登壇者、ファシリテーター紹介

鈴木 秀一郎さん(ゲスト登壇者)

小規模ビジネス改善の専門家。ワークスタイル研究所代表。中小企業庁登録専門家。

1961年新潟県生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業。 一度は就職するも、すぐに会社不適合を自覚し18ヶ月で卒業。 その後広告代理業・イベント関係・中古車販売などさまざまな業種に関わる。

2004年から経営者向けのコーチとして1,700時間超のセッションを経験し、 起業・経営を専門としたコンサルタントに転身。時代の変わり目にこそ必要な、起業家や中小企業の支援をミッションとする。 Webマーケティングや出版にも強く、多くの著名人の出版に携わってきたビジネスの相談屋さん。

松田然(もゆる)さん(ゲスト登壇者)

ライターカンパニー「合同会社スゴモン」代表。”働き方実験家働”という肩書きで活動しており、働き方をアップデートするメディア「SoloPro」編集長や、キャリアコーチング、自転車旅ライター(仕事をしながら47都道府県走破)など、いろいろな働き方を実験している。2019年のテーマは移動しながら働く「移働者(イドウモン)」。親と妹は新潟県柏崎在住。

合同会社スゴモン
ライティング事業を中心にメディア運営や場づくりを担うクリエイティブカンパニー。「情報発信」と「場づくり」を通じて働きがいのある世の中に、を企業ミッションに、働き方をアップデートするメディア運営「SoloPro」を運営。

土佐奈穂子さん(ファシリテーター)

大学中退後、新潟県内の大手企業で役員秘書に。その後、広告代理店で社長秘書兼内勤営業として勤務。リーマンショックで打撃を受けた部門を2年で立て直し退職までトップクラスの売上をキープする。

2017年に独立し流行していたSNS女性起業の世界へ。順調に売上と実績を伸ばすも、カリスマ型ブランディングに違和感を覚え受付を終了。現在はフリーランス秘書として、複数の法人経営者や行政、作家から依頼を受け業務フローの構築・改善や事業拡大に取り組んでいる。

 

開始時刻の19時半になると、土佐奈穂子さんの掛け声と共にイベント開始。自己紹介タイム(近くにいる方たち同士で名前・職業・イベントへの参加理由を交換)を終え、対談開始。

ぼくの近くにいた方は、建築板金屋さん(兼パーカショニスト)、登山ガイドをされていました。

Topic1|移動頻度、移動するようになったキッカケは?

キッカケはたぶん、東日本大震災。
それまではあまり外に出ないタイプだったんですが、人生の残り時間を意識するようになり旅に出てみたんです。

観光目的というよりは、知り合いを尋ねる旅。そしたらすごく刺激になりまして。

メルマガを書き始めたのもそこからです。死生観を揺り動かされたことが、移動×情報発信にがつながったのかもしれませんね。

ぼくはもともと10年くらい会社員をしていまして、2012年に独立したことがはじまりです。

会社員時代は通称”寝ないマツダ”と呼ばれていて一人ブラック社員をしていました。会社の命令で休まされたこともあります。

旅が好きだったので、まずは旅をしている間に現地の情報発信をすることを趣味がてらスタート。
移動先に仕事を持ち込みつつ発信できるなと気づき始めました。

自転車旅をよくするので、頭を使う仕事は移動中、まとめる仕事は移動先についてから、というスタイルが徐々に確立されていきました。

Topic2|独立するにあたっての不安は?

ぼくはそもそも会社員が務まらなかったんですよ、社会不適合者というやつです。

生き延びるためにしょうがなくできることに取り組んでいるうちに「目の前の人を喜ばすことだけを考えれば食いっぱぐれない」が信条となりました。

ぼくは独立当初は不安でした。

旅情報ばかり発信していたら、お客さんに”コイツは仕事しているのか?”と不信感を持たれるのではないかと。

でも”これは誰かに響くな”という情報発信を心がけていたら、ブログ記事をキッカケに仕事をいただけるようになりました。

お二人に共通することとしては”だれかのために、何を届けられるだろう?”という問いが上げられそうですね。その答えが発信内容の中心になった。

Topic3|発信の媒体選びや方法について

ぼくは毎日7時にメルマガ配信をしています。ヘッダーとフッターは固定で、ほとんど推敲はしていません。

うまく書こうとは思ってないので。”どこからでもかかってきなさい”が信条です(笑)

ぼくは仕事としては続けられるんですが、毎日更新は続かないことが多いですね。例えばブログの毎日更新はできないです。

ぼくもメルマガは続いていますけど、ブログの毎日更新はしていません。もしかしたらメルマガのように型をつくると続くのかな?と思い、プリントアウトして研究中です。自分で使わないとしても誰かの役に立つでしょう。

Topic4|情報発信において意識していること

メルマガ配信はもはや習慣になっていて、やらないと気持ち悪いくらいです。
感覚としては脳内だだもれ、という感じ。”こう見てもらおう”という考え方はしていませんね。

最終的に人となりが伝わればいいかな、という感じ。メルマガ読者やSNSで仲良くなった方に会いに行くこともたまにあります。発信するだけでなく、会いに行くことに手間を惜しまないのも大事だなと思いますね。

ぼくは自分のコトを知っている人と仕事をしたいから、キーワードを決めて発信しはじめました。本当は人前でしゃべるのが苦手なんです。ライターをはじめたのも人前で話さなくていいと思ったからです。

でも実際は打ち合わせしたりなんだりで、想像とは違いました(笑)
クライアント訪問は億劫になることが多かったんですが、”聞きに行く”というスタンスで会いに行くならできると思って、心が軽くなりましたね。

Topic5|地方在住者がするべき情報発信は?


ぼくが思うのは、まずは他の土地へ行ってみること。いろんな場所にいくと、相対的に地方の特徴がわかってくる。例えば福岡と新潟を比較すると、新潟はすごく平らという特徴があります。

余談ですが、近頃の若いカップル(新潟在住)はディズニーではなくUSJにいくようです。LCCが発達して大阪への交通費が安くなったことが要因のひとつです。

昔より格安に移動できる時代ですから、ひとまず色んな場所へいってみるのもいいと思います。

繋がりたい相手によって届ける内容が違ってくるので、誰と繋がりたいか、もしくは”どういうキーワードで覚えられたいか?”を考えることは大事だと思います。

例えば新潟の〇〇という括りを狙うとわかりやすい。グルメでも観光でもいいし、職業(ライター・カメラマン・デザイナー等)でもいい。

でも“この情報は誰かの役に立ちそう”というのが肝心なので、自分のことでなくとも発信するというのが大事。

Topic6|伝え方のコツ、ブラッシュアップの仕方は?

情報発信は相手ありき。何かを求めている誰かがいるから、この情報を求めている人に向けて書こう、というカマエが必要ですね。

書いていくうちにわからないことが出てきますが、わからないことは調べればいい。
自分で仕事をつくって”名乗る”のも有りだと思います。職業は自分で作るもの。

ライターの仕事として“このひとに読まれてほしい”というターゲットを決めることがよくあるんですが、一人のヒトを濃くイメージすることはけっこう大事だと思います。

どうしても手が止まってしまうひとにおすすめなのは、自分の5年前とかをイメージすること。

あとお金をかけたことは発信の種になりますね。ぼくなんかは自転車旅がそれです。

自分がお客さんになるのもいいかもしれませんね。サロンに入るとか。仲間をつくることで新しい取り組みが生まれることもあるし、運営方法の勉強にもなる。

傍からみていると、今までなかった感覚に出会ったときに、飛び込んでみる。真似してみることがブラッシュアップのコツなのかなと思いました。

イベント参加前に、“この場で学びたいことは何か?”を言葉にしたり、質問を用意したり、能動的に動くことは心がけていますね。

主催者側に入って手伝うのもひとつの手段かもね。


なかなか盛り上がってきたのですが、時間の関係で対談タイムはここで終了となってしまいました。

・この情報は誰かの役に立ちそうだ、というアンテナ
・情報発信は相手ありき、という考え方

この2点を中心として対談が繰り広げられていました。ギュッと凝縮すると、情報発信の鍵となるのは、届ける相手とそれを察知できるアンテナ張りのふたつ。

続いては質疑応答タイム。

質問1|価格設定はどのようにしている?


思った価格の倍にしてみる、というのをよくアドバイスしています。ぼくのところに相談に来られる方って、自分を過小評価している人が多いんですよ。価格にはバリューを出すという覚悟が乗っかるから、実はそれがあるかどうかの問題なんです。

質問2|顔出しの有無についてはどう考えている?

われわれは顔出しするタイプですけど、出さないブランディングもあるっちゃありますよね。ゲッターズ飯田さんとかは仮面だね。

顔を出さない場合はモチーフがあるといいかもしれませんね。仮面・アイコンなど。

恐れにフォーカスすると尻込みしてなにもできなくなりますから、どっちの方が楽しいかを考えてみるのもいいと思いますよ。


このあとも2、3の質問があったのですが、テンポアップして聞き取ることができず…ここまででございます!

まとめ


オープニング・自己紹介・対談・質疑応答と進むにしたがって会場の熱もあがり、この後の交流タイムも多くの言葉が交わされていました。多くの方にとって発見や気づきがあったようです。

ライターとしては「うんうん、そうだよね」共感できる内容が多かったです。自分にとってはあたり前で、他者にとってはすごく価値のあることをいかに発見できるかが発信のポイントとなると思いました。

人間の長寿命化、会社の短命化が進む現代では、「情報発信」をし、イチ個人として社会(経済)と接点を持つことがセーフティネットになり得る。参加者の頭の中には、そういったテーマが掲げられていたように感じました。

以上、対談レポートでした。

ABOUTこの記事をかいた人

編集者。メディアづくり・チームづくり・コーチング(編集の)が得意。生きづらさを市場化すべく試行錯誤中。薬を飲むの苦手、手数の多い単純作業苦手、声の大きい人苦手、飲み会苦手。根性叩き直し中。目標はリオネル・滅私。