アドラー心理学の実践において押さえたい4つのこと

当記事は、『自信のない自分の心理を、アドラー心理学の「目的論」に基づいて考察してみたら解決策が浮かんできた』の続編的な位置づけです。

アドラー心理学における「ライフスタイル(世界観や思考の癖)」の選び直し方について自身の理解をまとめています。

話題の範囲が大きいため読み解きが難しいのですが(心理学の範疇を超えて人生哲学の領域に入っていきます)、ここは重要だぞという点を4つに絞りました。

優越性追求の原理

アドラーは「人間精神は劣等性から優越性へと向かう」という捉え方をしています。

私には「○○が不足している」と劣等感を抱き、それを克服するように動くということです。

注意したいのは、劣等感と劣等コンプレックスと混同させてしまうことです。その違いを端的に言えば「自らの不足を言い訳に使っているか否か」となります。

▼ 劣等感の意味ついてはコチラをご覧下さい ▼
劣等感は克服するものではない? 詳しい意味について解説します。

人間関係の入り口:課題の分離

ぼく自身が実践して心が軽くなったものに「課題の分離」という考え方があります。

あらゆる選択について「その選択の結果を最終的に引き受けるのは誰か?」という問いをし、その選択は自分が行うべきか他者が行うべきかを判断するというものです。

例えば自分自身についての価値判断(自分自身に値札をぶら下げるイメージをしてみてください)。

これを他者の課題とした場合、値札が無数に貼り付けられることになってしまいます。

となると、これを引き受けるのは自分自身ですから、これは自分の課題とします。「自分の価値は自分で決めろ」という風に理解しています。

この考え方を実践することで、周囲の顔色を伺うことが減りました(なかなかゼロにはできません)。アドラー心理学では、課題の分離を人間関係の入り口と位置づけています。

健全な劣等感を持つための3つのマインドセット

アドラーは対人関係のゴールとして「共同体感覚」というものを提唱しています。

他者を仲間だと見なし、そこに「自分の居場所がある」と感じられることを、共同体感覚といいます(『嫌われる勇気』p179より)。

ここでいう他者は、一対一の関係の他者から、出会ったことすらもない他者も含みます。

いくつかの本を読んだ感じですと、究極的には宇宙全体が共同体で、宇宙に属しているもの(のうち私が関係を深めていきたい人たちは)全て仲間であるという感覚だと思います。

共同体といっても区切り方はさまざまで、家庭・ご近所・市町村・県・国家・連合(国際連合とか)・地球・銀河系・宇宙、のようにいくつも考えられるからです。

また共同体感覚をもつためには、以下の3つを会得する必要があるとしています。

・自己受容(じこじゅよう)
・他者信頼(たしゃしんらい)
・他者貢献(たしゃこうけん)

「自己受容」は、自分自身の不足を受け入れながらも前に進もうとすること。何が与えられているか?ではなく、与えられたものをどう使うか?という視点を得ることです。

他者信頼は、他者を無条件に信頼すること。ただし、誰でも彼でも信頼するというのではなく、人間関係を築きたい人たちに対して行うという条件があるようです。

他者貢献は、人間関係を築きたい人たちに対して、役に立とうとすること。注意点は「他者に貢献しているという感覚を主観的にもつこと」。

他者への貢献なのに、貢献感を主観的にもつというのは不思議ですよね。これは自己への執着を他者への関心へと切り替えていくことが目的にあるためだと考えています。

イマ、ココに意識を集中する

アドラーは、究極的には、目的を設定しない生き方を推奨しています。いわば、行為そのものが目的(踊りたいから踊っているのだ、のような)という状態。

イマココに強烈なスポットライトを当てると、前も後ろも見えなくなる(つまり過去も未来も見えなくなる)。そういう時間を過ごすことが幸福な人生であると主張したいのだと思います。

ただし欲望の赴くままに生きるのではないことは覚えておかねばなりません。目的を設定しないとしつつも、大きな指針としては他者貢献を目的に据えることを唱えています。

まとめ

『嫌われる勇気』によれば、アドラー心理学を真に会得する(身体感覚レベルまで落とし込む)にはそれまでの人生の半分の年数が必要だそうです。

ポイントを改めてまとめると

・人は、劣等性→優越性へ向かう
・他者の課題と自分の課題を切り分ける(ことが人間関係の入り口)
・人間関係のゴールは「共同体感覚」
・「目的を設定しない生き方」が究極

となります。2018年現在は全肯定しなくてもよいと思っているのですが、出会った当初(2013〜2014年ころ)はけっこうな衝撃を受けて大絶賛しました。

当時の思考プロセスをあまり思い出せず、具体例に乏しく申し訳ありません。アドラー心理学を読み解いていきたい方の一助になれば嬉しいです。

ABOUTこの記事をかいた人

編集者。メディアづくり・チームづくり・コーチング(編集の)が得意。生きづらさを市場化すべく試行錯誤中。薬を飲むの苦手、手数の多い単純作業苦手、声の大きい人苦手、飲み会苦手。根性叩き直し中。目標はリオネル・滅私。