2016年4月のこと。
「むこう1年くらいはフィリピンでバリバリ働くぜ!」と息を巻いた筆者は、約3ヶ月ほどで体調を壊し(ストレス&過労)、帰国。同じことをしたらまた体を壊すと、実家で療養しつつ働き方を模索することになりました。
頭で考えてもわからん。働き方を探す旅へでる
1ヶ月くらいで体調が徐々に回復してきたので、東京、京都、大阪、福井と、いろいろな働き方をしている人に会いまくる旅を決行しました。
今回は、初上陸となった福井県鯖江市にある河和田町の放浪記を書いてみました。
福井県を訪ねることになったのは、インドの「ウッドブロックプリント」という布染めを軸に「design labo chica」として個人事業を営む友人がきっかけでした。生地やお洋服、雑貨の、企画・製作をしています(活動が詳しく紹介されているインタビュー記事はコチラ)。
友人との出会いは約2年前。長野県松本市にある「カンデラゲストハウス」にて、ヘルパースタッフとして住み込みで働いている時に出会いました。
あまり鮮明には覚えていませんが
「日本とインドを行き来して布染めの手仕事品をつくっている。これから飛び込み営業するから、ピンとくるお店があれば」
と尋ねられた気がします。行動力が半端ではない人なんだなぁと思いました。
そんなことを思い出しつつ友人に連絡したところ「最近クリエイターが増えつつある町、”河和田”を歩き回ってみたら?」と一言。
はい決定。
いざ、河和田町(かわだちょう)へ
河和田町は、福井県鯖江市にある人口約4,400人程度の小さな町で、うるしの里かわだまちづくり協議会の運営するとってもオシャンティなWebサイトにて「暮らしを紡ぐまち」として紹介されています。
季節を感じる風土、食文化、漆器、メガネづくり、また地域の人とよそ者が混ざり合う文化もあるそうです。
そんな河和田町にある「ろくろ舎」と、木地師として働かれている服部さんを紹介したいと思います。
ろくろ舎と服部さん
ろくろ舎は、木材を中心としたプロダクト製作をしている工房で、持続可能な社会の担い手(作り手を超えた活動)もされているそうです(ろくろ舎HPより)。
個人的にはHPにある、ろくろと歯車(?)を描いたドローイングに全てが集約されている気がします。
ろくろ舎は河和田コミュニティセンターから、徒歩5分ほどで到着します。当日は65リットルのバックパックを背負っていたので、とっても助かりました。お天気も晴れ。
今日はお休みか…?(日曜だったので)とドキドキしながら「すいませーん」と言うと
「はーい」と中から声がして、デニム生地の前掛けをつけた可愛らしい女性が登場。彼女の名前は服部さん。
あたまにバンダナを巻いて髭を生やした人を想像していたので、とっても意外でした。
服部さんはろくろ舎で「木地師」というお仕事をされていて、塗り物のお椀の、塗りに入る前までの加工をしてらっしゃるそうです。「働き方を模索する旅をしている」と言うと、快くお話をしてくださいました。
もともとは無印良品で働いていて、その後に石川県で木地師の勉強をして現在に至るそう。どんなお仕事をしているのか、なぜここで働いているのかなどを伺ったなかで印象に残っているのは、
「ものづくりの世界をもっと知ってもらいたい」
という言葉。
筆者も「木工職人として持続可能な森づくりに貢献したい」と木工修行に励んでいた時期があったので、ビビビッとくるものがありました。
分業が進んだせいなのか、作り手の世界と使い手の世界が分断されていることをヒシヒシと感じた思い出があります。木工製品に使われている材は、お肉でいったら「超希少部位」に当たるんです。
森の中から良い木を選んで伐採して、枝を落として、乾燥させて、材として切り出して、その中から製品づくりに適した部分を切り出して、やっと加工に入る。正確には覚えてないんですが、丸太を10として、たしか7割以上は削ぎ落とされてしまうんです。
それでも失敗して、ダメになる時もある。決定的なミスは時として数百個ものボツを出してしまうこともあります。
思い返せば、筆者はけっこう色んなジャンルの友人や知り合いがいることに気づきました。木工家・木工職人、フォトグラファー、画家でマジシャン、ライターでマジシャン、細胞アーティスト、ろうそく職人etc…
「わかってたまるか」という人もいれば、服部さんのように「もっと知ってもらいたい」という人もいます。
服部さんとお話していて感じたのは、無理をしていないこと。家電製品でいえば、ルンバ(できない部分は掃除しない)、動物でいえば、ねこ(自由)、食材で言えば、たけのこ(のびのび)です。
初めてで、しかも飛び込みで来たにも関わらず笑顔で迎えてくれた服部さん。決して暇ではないはずですが、たくさんお話して下さって、感謝感激の旅となりました。


