文章力のトレーニング本は目的別に選ぼう【紹介アリ】

「私もあの人みたいに文章を上手く書けるようになりたい」と思っても、トレーニングの方向性を定めるのは難しい。

文章力という言葉じたいがフワッとしているためです。「コレだ!」と思う指針を発見するには、もう少し詳しく見ていく必要があります。

以下、詳しく見ていく方法と本の紹介です。

文章力を”場面化”する

まずは「文章力」を自分に合ったカタチに言語化する方法を紹介します。

やりかたは、次の質問シートに穴埋めをしていくだけ。

【文章力の言い換え質問シート】

Doing(考え):必要だと思った。

いつ:
どこで:
だれが:
なにを:※ここは文章力以外の言葉を用いる。
どんな風に:
なぜ:

この質問に答えると、自分が文章力を必要としている場面が具体的になります。

たいがいは仕事に関係すると思いますが、必要な場面は人それぞれ。

ビジネスメールなのか、チャットなのか、企画か、日報か、プレゼン資料か、それともメルマガか。

場面を具体的にすることで、自分に不足しているものが明確になってきます。

「文章力」だと思っていたものが、顧客に対するヒアリング不足だったり、文章構造を組み立てる力だったり、たんに改行の問題だったり。

場面化をすることで、文章力という言葉が別の言葉に置き換えられていくはずです。

その上で、自らにあった本探しを始めることをおすすめします。ここから先は、筆者自身がぶつかった課題と、それに合わせて選んだ本を紹介します。

よい文章って、何だ?

まずはトレーニング本の紹介から。
以降は、

  1. 本の紹介
  2. 場面の具体化事例

という順番で紹介していきます。

新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング できるビジネスシリーズ

この本は「読者が完読する文章」をよい文章という風に定義しています。

著者の唐木元さんによる「唐木ゼミ」というもの内容をベースが書かれています。唐木元さんは『コミックナタリー』というニュースサイトの初代編集長です。

完読してもらうためにはどんな工夫をしたらよいのか?という観点から、文章を書く前の準備や文章を書いたあとの見直すべき点などが紹介されています。

▼場面化の例

Doing(考え):必要だと思った。

いつ:ポータルサイト運営の編集長を担当するとき
どこで:会社内
だれが:ぼく
なにを:目指すべき記事のカタチと執筆のルールづくり
どんな風に:自分が居なくなっても、その仕事が回るように
なぜ:仕事上、記事の質を一定に保つ必要があったから

ぼくの場合は「文章力」というよりも「どんな記事を目指すか?」というゴールと、そのためのチェック項目が必要でした。仕事ではこの本を片手に、執筆・編集のルールづくりをしていました。

ニュースサイトの編集長による、新入社員向けのトレーニング内容がベースなだけあって初心者向け、かつ実践的な本だと思います。

日本語の特徴を理解したい

日本語練習帳

日本語練習帳は、読んで字のごとく「日本語」の「練習帳」を目指して書かれた本です。練習問題がついており、日本語の基礎を学ぶことから実際に文章を書くトレーニングまでができます。

個人的には、日本人の全員がこの本を持っていてもいいと思うくらいです。

▼場面化の例

Doing(考え):必要だと思った。

いつ:編集指導の仕事を始める1月ほど前
どこで: 自宅で
だれが: ぼく
なにを:日本人として、日本語に対する教養
どんな風に:焦るように
なぜ:言葉を扱うことを生業にするものとして、自分の扱う言葉についてよく知るべきと思ったから。

この本は、編集指導の仕事を始めるにあたって「そもそも日本語についてしっかりと勉強したことないぞ」と思いたって購入しました。

友人とFacebookグループを立ち上げて練習問題を問いてコメントし合うという風に利用しました。

めっっっっちゃ勉強になります。
「文章力?とりあえずこの本読んどけ!」なトレーニング本です。

文章って、そもそも何だ?

自家製 文章読本

文章そのものについて考えていくことを「滑稽な冒険」と称して、文章とはなんぞや、という問題に分け入っていく本です。

文章力のトレーニングというよりは、文章そのものを探求していきたい人に向いていると思います。

せっかくなので、好きな一文を紹介させてください。

わたしたちの読書行為の底には「過去とつながりたい」という願いがある。そして文章を綴ろうとするときには「未来へつながりたい」という想いがあるのである。

なんか、グッときませんか。

本とは記録のこと。
本と触れることは過去とつながること。
そして文章を残すということは、いつかどこかでその文章は誰かとつながるということ。

この本は昭和59年の4月刊行。この本を読んでいるとき、その読者は昭和59年の4月時点の時空間とつながっているんですね。そういう見方です。でも本当のことだと思います。

好きを推しすぎた感がありますが(笑)、もしよかったらこんな本もありますよということで。

▼場面化の例

Doing(考え):必要だと思った。

いつ:編集学校の講座終了時
どこで: 自宅で
だれが: ぼく
なにを:文章そのものについて、先人の知恵に触れることが
どんな風に:好奇心の赴くままに
なぜ:文章ってそもそも何だろうかと考えを深めてみたかった。講座の内容をさらに落とし込んでみたかった

2015年ころに『イシス編集学』というオンラインの学校で編集講座を受け、編集とはなんぞや、文章とはなんぞや、ということを追求したくなりました。

そんなときに、知的好奇心の赴くままに手にとった本です。文章力のトレーニングに即効性はないかもしれませんが、このような領域にも踏み込む人が増えてほしい願いもあります(笑)

まとめ

最後は好きなもの推しになってしまいましたが、課題の言語化&本選びの紹介は以上です。

手順のおさらいです。

  1. 質問シート埋めて必要なものを言語化する。
  2. アマゾンや楽天で検索をするか、書店へいき本を購入する。
  3. 本に書いていることを実践する

 

「どの本がいいかわからない!」という方は、『日本語練習帳 (岩波新書)』を読んでみてください。

それでは。

ABOUTこの記事をかいた人

編集者。メディアづくり・チームづくり・コーチング(編集の)が得意。生きづらさを市場化すべく試行錯誤中。薬を飲むの苦手、手数の多い単純作業苦手、声の大きい人苦手、飲み会苦手。根性叩き直し中。目標はリオネル・滅私。