フリーランスに必要な説明と対話の文章力

フリーランスの悩みとして、仕事を教えてくれる人がいない(あるいは相談相手が近くにいない)ことが挙げられると思います。

ぼく自身も社会人的なお作法がサッパリわからず「社会人1年めの教科書」のような本を読み漁って想像力で補おうとしていた過去があります。

この記事では約4年のフリーランス生活(WEBライティング・編集が中心)を通して見えてきた、フリーランスの学び方と身につけたい文章力について紹介します。

フリーランスの学び方

4年くらいフリーランスとして生活して思うのは「仕事が先生」ということ。仕事のことは仕事を通してしか学べない。

仕事を教えてくれる存在がいない(この発想も甘いんですが)ので、全部を自分で考えて決断して行動して反省して、という感じです。これまでの仕事をざっくりとわけると、WEBライティング・編集・コーチングになります(プログラミングも少し)。

WEBライティング・編集の仕事では納期厳守(あたりまえですけど)からスタートしました。

次いで、「読まれるにはクリックされないといけない」「クリックされるには検索結果画面に表示されないといけない」という風に考えてSEOの知識やWEBマーケティングの手法、記事制作の流れを学んでいきました。

読み手を引きつけることがログに残ってサイトの評価が上がるのでは?といった風に考えたり、記事の要素はタイトル・リード文・本文と締めの文章とに分けられると考えて雛型を作成してみたり。「仮説構築力」「要素分解力」などを身につけられました。

余談ですが、WEBはまだまだ未成熟なので決まったお作法はなく、速度重視で誤字脱字はご愛嬌という風潮があるように思います。

コーチングの仕事は「忍耐力」と「俯瞰力」とが求められました。生徒との関係づくりが超重要なので、敢えて言葉を伏せて、変化(進化)を待つことも仕事のひとつ。

また言葉を届けるタイミングを推し量るためには全体と部分と行き来する必要があります。

いずれの仕事も文章によるコミュニケーションがメイン。仕事を円滑にするための文章は大きく分けて「説明する文章」と「対話する文章」とに分けられると思うようになりました。

説明する文章

説明する文章は、理解のすり合わせを目的とした文章です。

実際にあったものを挙げてみます。プログラムのエラー修正時にお客さまに送信した文章です(簡略化しています)。

問い合わせに対し「このプログラムはA→B→Cという順番で処理を行っており、おそらくBの段階でエラーが生じています。」「原因が判明次第ご連絡し、作業の進捗は17時までにはご連絡します」というお返事を送りました。

この文章ではプログラムの仕組みと自身が取り掛かる作業、返信の期日を説明しています。お客さんは「なぜエラーが起こっているのか」「いつまでに終わるのか」を知りたいためです。

一番知りたいことは「いつまでに直るのか」だと思いますが、原因をわかりやすく説明することでより安心いただけるのではないかと思っています。

テクニックとしては、抽象的な説明と具体的な事例とをセットにするようにしています。

この文章でいえば「理解のすり合わせを目的とした文章です」というのが抽象的な説明です。具体的な事例は、先程紹介した文面のことです。

説明する側とそれを理解する側で、解釈の食い違いを減らすことでトラブルを回避します。また上手に説明ができることで、お客さんが安心するという効果もあります。

対話する文章

説明する文章とは対になるもので、関係構築を重視した文章です。コチラは説明が難しいのですが、相手ありきの文章といえばよいでしょうか。その相手がいなければ生まれなかったであろう文章になります。

説明する文章は万人に通じることを目指すため、言い換えると相手は誰でもいいことになります。その逆で、まず相手の言葉があって、それを元に組み立てていく文章です。

会話する場面を考えるとわかりやすいかもしれません。テンポに合わせてスピードに乗ったり、じっくり傾聴したり、お伺いを立てたり。

最大の特徴は「言わないこと」をシビアに決めていく点。相手の思考プロセス(意識的・無意識的含めて)を受け、それを紐解き、一つずつお返ししていく。

多対一のキャッチボールをする感覚です。その中から「いまこのタイミングで返しておくべきボールはどれか?」を問い続けながら言葉を返していきます。

いきなり要件だけをボン!と置くのでなくて、挨拶の言葉(お早うございます、失礼します等)もなげかけます。実際に使っているのはメールやチャットだけれども、言葉を交わす場がそこに発生しているイメージです。

オフィス、カフェ、住宅、などを浮かべるのもひとつの手段(そんなもん要らん!というハイパービジネスマンもいらっしゃるでしょうけど)。

コーチングの仕事では、オンライン上の教室を想定する風になっていました。まとめていえば「対面に近い文章」といえるかもしれません。

まとめ

説明する文章と対話する文章、いま自分が書こうとしているものはどちらなのか。この問いを頭の片隅に置いておくことで、関係づくりへの苦手意識が少なくなりました。

結果的に、自信をもって仕事に臨めるようにもなったと思います。「フリーランスだからこそ」ではないかもしれませんが、覚えておいて損はないと思います。

ABOUTこの記事をかいた人

編集者。メディアづくり・チームづくり・コーチング(編集の)が得意。生きづらさを市場化すべく試行錯誤中。薬を飲むの苦手、手数の多い単純作業苦手、声の大きい人苦手、飲み会苦手。根性叩き直し中。目標はリオネル・滅私。